昨日の朗読は、高村光太郎作『智恵子抄』より13の詩を朗読させていただきました。
光太郎の千恵子への想い、智恵子が亡くなってからの心のうちが真っ直ぐに入ってきて、たくさんの人に読み継がれている理由がわかったような気がします。
「あどけない話」「レモン哀歌」など有名なものもありますが、私が心惹かれたのは次の詩です。
美の監禁に手渡す者
納税告知書の赤い手触りが袂《たもと》にある、
やつとラヂオから解放された寒夜の風が道路にある。
売る事の理不尽、購《あがな》ひ得るものは所有し得る者、
所有は隔離、美の監禁に手渡すもの、我。
両立しない造形の秘技と貨幣の強引、
両立しない創造の喜と不耕貪食《どんしよく》の苦《にが》さ。
がらんとした家に待つのは智恵子、粘土、及び木片《こつぱ》、
ふところの鯛焼はまだほのかに熱い、つぶれる。
ほんの少しだけ、自分自身のことが詩と重なりました。
音楽は、光太郎の千恵子への想いと、シューマンのクララへの想いが重なり、歌曲「くるみの木」など。
そして、智恵子が病気を発症し、亡き後の詩には、バッハのシンフォニア。
来月は7月7日、七夕の日が「クラシックと朗読の時間」です。
さて、どんなものをとりあげましょう…
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